自分に掛けた「呪(しゅ)」の解き方

2024.10.19

書店で偶然見つけた
夢枕獏さんの小説「陰陽師」

これがとっても面白く、
もう19巻も続きが出ている
人氣シリーズなのだと後から知りましたが、
今更ながらドハマリしました。

私は、一番大好きな小説は
梨木香歩さんの「家守奇譚」なのですが、
「陰陽師」も「家守奇譚」も
この世のものとこの世ではないものが
同じ世界に溶け合っているという
この世界観がすごく好きです。

さて、「陰陽師」では
主人公の安倍晴明が「呪(しゅ)」
について語ります。
一番身近で短い「呪(しゅ)」は
名前なのだと言います。

晴明たちが鬼と対峙する話の中で、
こんな興味深い場面がありました。
鬼に「名をなんと申す?」と聞かれ、
仲間の一人は本名の博雅という名を
鬼に名乗ってしまいます。
一方、晴明は、
正成という嘘の名前を名乗ります。
そうすると、本名を名乗ってしまった方は
鬼に「博雅、止まれ!」と言われて
妖術にかかってしまうのですよね。
ところが、
「正成、止まれ!」と言われても
晴明には妖術がかからない。
嘘の名前だからです。

とはいえ、もし、
「正成、止まれ!」と言われて
返事をしたり、反応してしまうと、
妖術にかかってしまう。
その為、晴明は無反応で微笑むだけ。

つまり、返事をしたり、反応する、
ということは、
正成という名を受け入れることになり、
その時点で、「正成」という名前の
「呪(しゅ)」を
自分にかけることになるのです。

これ、すごく面白いなぁ、
と思ったのですよね。

それで、氣づいたのですが、
私たちは自分に「呪(しゅ)」を
かけまくりなんだ、
ということがわかります。

それは、名前だけではありません。

生きずらさを感じているとしたら、
この自分が自分に掛けた「呪(しゅ)」
が原因かもしれません。

そして、今回は
この「呪(しゅ)」の解き方も
お話していきたいと思います。